PCR検査とは何か
はじめに
現在、何かと話題になっているPCR検査。
そもそもどういった検査なのかを纏めてみました。
PCR法とは
P:Polymerase(DNAを合成する酵素)
C:Chain(連鎖)
R:Reaction(反応)
の略称です。
調べようとする遺伝子を酵素で連鎖的に反応させて爆発的に量を増やす方法です。
PCR法の原理
チューブ中の反応液温度を変えることによって起こる3つのステップからなる反応を繰り返し行うことでDNAを増幅させます。以下にステップを示します。
① 熱変性:反応液を94℃に加熱することで、2本鎖DNAを1本鎖にする。
② アニーリング:反応液を55℃にすると、DNAの両端に合成開始の引き金となるプライマーと呼ばれる物質が結合して、部分的な2本鎖を形成する。
③ 伸長:反応液を72℃に上げると酵素が作用し、アニーリングで形成された2本鎖を伸ばす。
④ 増幅:①~③を20~30回繰り返す。
検出
増幅させたDNAを制限酵素というものでバラバラにしてDNAの断片を作ります。
これをゲルに塗布して電気をかけるとDNA断片の大きさによって分離されます(電気泳動と呼ばれる)。
これを検出したい物が陽性と陰性のサンプルと比較することで検出します。
まとめ
以上のようにPCR法は多くのステップを踏むので、手間や時間がかかります。
またPCR法はウイルスなどが存在するかしないか(定性)を調べる方法であるので、どのくらいの量が存在するのか(定量)はわかりません。
定量的に調べる場合にはReal-time PCR法を用います。
参考文献:
臨床検査学講座 遺伝子・染色体検査学